2010年4月16日金曜日

ア・フール・サッチ・アズ・アイ



ア・フール・サッチ・アズ・アイ

エルヴィス・プレスリーのベストを集めた「エルヴィス・プレスリー ゴールデンレコード第2集」のジャケットがエルヴィスがロックンローラ-だったことを語っているのは当たり前だ。キングだからね。なによりこんなに幸福になれるアルバムは他にない。

もうこのアルバムの<ONE NIGHT>には狂ってしまうよ、若いエルヴィスの声には一夜といわず一カ月ぐらいいいよ。この<ONE NIGHT>に匹敵する<ONE NIGHT>はキングのキャリアでも<シッドダウン・ショー>しかないだろう。

<恋の大穴>のピアノのノリはどうだい、ギターもかっこいい。エルヴィスもワイルドに爆発しているかと思ったら"that's right"って気合いいれるように歌うなんともかわいい声はどうなってるんだ!!声にギターとピアノが絶妙にからんで、ああ、この神業のようなバランスに狂ってしまう!このイカれ具合がロックンロールの神髄だ!

<I Need Your Love Tonight >の伴奏ってきたらどうだ。Oh!Oh!って一体どうなっているんだ。
このとってもデンジャラスな匂いのするラブソングで”hi-fi”って歌詞聴くたびに、そう掲示板で話題になっている<疑似ステレオ>を連想したよ。”I Need Your Love Tonight ”と求める愛まで疑似じゃないのかと思ったものさ。

あ、あ、あっ!出たっ!(Now And Then There's)A FOOL SUCH AS l <ア・フール・サッチ・アズ・アイ>
そのイントロが聴こえてきたら、もうどうにもこうにもなるもんか!渋いコーラスに続いて、ああ、なんとも、なんとも、ああ、美しい声!ああ、スウィング感!エルヴィス万歳!
(Now And Then There's)A FOOL SUCH AS l

【直撃レベル】
青は生きててよかったレベル
赤は狂ってしまうレベル
ピンクはよだれダラダラレベル

(Now and then therei s a fool such as I)
Pardon me if l'm sentimental
When we say goodbye
Don ' t be an gry with me
Should I cry
When you ' re gone, yet I' Il dream
A Iittle dream as years go by
Now and then, there ' s a fool such as I

Now and then, there ' s a fool such as I am over you
You taught me how to love
And now you say that we are through
I ' m a fool, but I ' Il love you, dear
Until the day I die
Now and then there 's a fool such as I

(間奏)

(Now and then, there's a fool such as I)
Now and then, there ' s a fool such as I am over you
You taught me how to love
And now you say that we are through
I ' m a fool, but I ' Il love you, dear
Until the day I die
Now and then there 's a fool such as I
Now and then there 's a fool such as I
Now and then there 's a fool such as I

いきなりだ!出合い頭の直撃パンチだ!”Pardon me”のPardonから meへの降下、ああ、こんなことがあっていいのか!あまりの甘さに頭から頬へと震えが伝わっている間に、ざらついた感触でスパッとブラッキラ棒に Should I cryと歌う。”Should”の切れ具合はどうだ、あっという間に一発で決める。なんという奴だ!そのあとに続く少し悲しげな声に鳥肌がたつ、ああ許してやりたい、許すしかない。と思っていたらsuch as Iでまた何気なく不敵な声でスパッとやる。コイツは確信犯だ。

コーラスのノリも最高だ!間奏が終わった後の”there ' s a fool such as I am””I ' m a fool, but I ' Il love you,”にはKOパンチだ!特に”there ' s a fool such as I am”は骨だって溶ける!隣にナースがいてくれなきゃ心配だ!これは犯罪だ。裁判所が「直立不動で歌え」とクレームつけるのも無理のない話だ。直立不動で歌ったってたくさんの人は失神したけどね。それにしてもこのギターはどうなっているんだ。チェット・アトキンスだろうが誰だろうが、ああ、たまらない。フェイドアウトに入る前の foolはどうだ。こいつは一体何を考えてこんな歌い方をするんだ!

しかし、この曲に対する思いと、世間の評価(ベストアルバムなどでの扱い方)にズレを感じていたが、ビリー諸口氏もこの”Pardon me”のmeの声とチェット・アトキンスのプレイに関して「最高峰」と評価しているのを発見して、永年の苦悩は金ラメスーツのポケットに消え去った。それにボブ・ディランがカヴァ-したのもオリジナルのハンク・スノウではなく、エルヴィスだったというのも当然だ。

このアルバムは「エルヴィス・プレスリー ゴールデンレコード第1集」と比較すると声が艶っぽい。完全無敵のロックンローラーとして躍動感にあふれている。自信が満ちあふれている。

< Don't >と< My Wish Came True>のみが1957年の録音、残りは1958年の入隊前後を中心として<ア・フール・サッチ・アズ・アイ>は兵役中の休暇を利用した1959年の録音。<ELVIS IS BACK!>の片鱗も聴きとれる。愛ピ、つまり私としてはキングのキャリアの中でも最もバランスがよかった時代と思う。天才がさらなる努力と研鑽と傲慢に磨かれて輝いて、金ラメのスーツがこれほど似合う男はいない。キングは地上最強の金ラメ男だったことを忘れるな!